工作機械・産業用ロボットの国内投資マップ(2026年1月時点版)を考察

近年、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。人手不足の深刻化や省人化・自動化への対応、さらには経済安全保障の観点から、国内設備投資の重要性があらためて注目されています。

こうした中、経済産業省は「国内投資マップ(2026年1月時点版)」を公表し、全国で進む設備投資の動きを可視化しました。

本記事では、この国内投資マップをもとに、工作機械・産業用ロボット分野がなぜ重視されているのか、そしてその動きが製造業や中古工作機械市場にどのような影響を与えるのかについて考察していきます。

参考:工作機械及び産業用ロボット (METI/経済産業省)

目次

国内投資マップとは何か

国内投資マップは、工作機械・産業用ロボットが日本の基盤産業として位置づけられていることを示しています。今後は新規設備投資だけでなく、既存設備の有効活用や再流通も、より重要なテーマになっていくと考えられます。

経済産業省が公表した「国内投資マップ(2026年1月時点版)」は、令和3年度補正予算から令和7年度当初予算までに実施された、投資支援関連施策の採択案件を、地域や分野ごとに可視化した資料です。

主な数値は以下の通りです。

  • 採択案件数:約34万件
  • 投資支援総額:約9.4兆円
  • 総投資額:約21兆円

昨年7月からの増加推移

指標2025年7月時点2026年1月時点増減(絶対値)増減率(概算)
投資支援件数約29万件約34万件+5万件+約17%
投資支援総額約7.8兆円約9.4兆円+約1.6兆円+約21%
総投資額約17兆円約21兆円+約4兆円+約24%

※小数点切捨て・四捨五入による概算値
参考:国内投資マップ(2026年1月時点版)を公表します (METI/経済産業省)

この規模からも、国が国内設備投資を重要政策として継続的に後押ししていることが分かります。

工作機械・産業用ロボットが重視される理由

国内投資マップを見ると、工作機械や産業用ロボット分野が重点領域として扱われていることが読み取れます。その背景には、以下のような理由があります。

1.製造業全体を支える基盤設備であるため

工作機械は「マザーマシン」とも呼ばれ、あらゆる製造業の根幹を支える存在です。
自動車、半導体、航空機、電子部品など、多くの分野で不可欠な設備であり、ここが停滞すると産業全体に影響が及びます。

2.人手不足・省人化への対応が急務であるため

少子高齢化が進む中、製造現場の人手不足は深刻化しています。
省人化や自動化を実現する手段として、NC工作機械や産業用ロボットへの投資は、今後も継続的に求められると考えられます。

3.経済安全保障の観点から重要視されているため

工作機械や産業用ロボットは、経済安全保障上の「重要物資」としても位置づけられています。
特定国への依存リスクを回避し、国内での生産・供給体制を強化する流れが、政策面からも後押しされています。

投資マップから読み取れる今後の方向性

国内投資マップは、単なる補助金の一覧ではありません。
日本の製造業が今後どの方向に進もうとしているのかを示す指標とも言えます。

  • 新設・増設投資は引き続き活発
  • 同時に、設備更新や合理化投資の重要性が増加
  • すべてを新品設備で賄うのではなく、既存設備の有効活用も現実的な選択肢

中古工作機械市場への示唆

こうした動きを踏まえると、中古工作機械市場の役割も変化しています。

  • 新品設備の納期やコストが課題となるケースの増加
  • 一定の性能を満たす中古機械への再評価
  • 海外市場における日本製工作機械の根強い需要

国内投資が進む一方で、設備更新によって市場に出てくる中古工作機械も、今後さらに増えていくと考えられます。

まとめ

  • 国内投資マップは、工作機械・産業用ロボットが国策の中核にあることを示しています
  • 人手不足、省人化、経済安全保障といった構造的課題が背景にあります
  • 新規投資と並行して、既存設備や中古市場の重要性も高まっています

設備を「導入する」「使い続ける」「手放す」という判断が、これまで以上に戦略的なものになっていく局面だと言えるでしょう。

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