ヤマザキマザック株式会社の高機能複合素材ミネラルキャストとは

ヤマザキマザック株式会社は、ミネラルキャストという高機能複合素材を内製し、自社製の工作機械への採用を拡大しています。2023年に量産化に向けての技術開発を完了し、2024 年度に内製ミネラルキャストを採用した新機種の出荷を開始する予定です。

この新たな素材は、工作機械の性能向上に大きく寄与することが期待されています。この記事では、ミネラルキャストについて解説します。

参考：高機能複合素材ミネラルキャストを自社で内製、採用機種を拡大｜ヤマザキマザック株式会社

ミネラルキャストとは

ミネラルキャストは、高い振動減衰性能と優れた熱安定性、環境性能を備えた素材です。

鉱石とエポキシ樹脂を結合させたことで、加工中の振動を効果的に吸収し、加工精度を向上させることに加えて、温度変化に対して安定した性能を保つことで、精度の高い加工を可能にします。

製造工程におけるCO2排出量が鋳物に比べて大幅に少なく、環境に優しいため、GX対策にも効果的です。

ミネラルキャストの利点

ミネラルキャストは、素材としての優れた特性に加えて、設計の自由度を高めることやコスト削減にもつながります。

あらかじめ配管やタップインサートをミネラルキャスト内に組み込むことで、機械加工や組立工数を削減し、製造リードタイムを短縮できます。日本国内では製造メーカーが限られており、輸送費を含めた調達コストが高いことが課題でしたが、内製化によりコスト削減にも寄与できます。

ミネラルキャストの採用拡大の背景

工作機械の構造体には鋳物が一般的に使用されてきましたが、さらなる性能向上を目指して、より優れた特性を持つ代替素材の需要が高まっています。自動車、航空機、半導体など多くの産業で利用される工作機械には、常に高い加工精度と生産性が求められるためです。

内製化の取り組み

ヤマザキマザック株式会社は、ミネラルキャストの内製化に向けて数年前から試験研究を行ってきました。量産化に向け、2024年度中には量産を開始、内製ミネラルキャストを採用した新機種の出荷を予定しています。

環境経営の一環として

ミネラルキャストの採用は、同社の環境経営の推進にも貢献します。製造工程でのCO2排出量削減を通じて、持続可能な製造プロセスを実現し、環境負荷の低減を図ります。

まとめ

ヤマザキマザック株式会社が内製化を進めるミネラルキャストは、優れた振動減衰性能や熱安定性を持つ高機能複合素材です。環境性能にも優れ、工作機械の高精度化・高能率化に大きく貢献することが期待されます。同社は、この素材を用いた工作機械の提供を通じて、さらなる技術革新と環境負荷の低減を目指しています。