工作機械の高精度化や自動化が進むなか、計測技術の重要性はますます高まっています。
精密計測技術のリーディングカンパニーであるレニショー株式会社は、2026年10月開催のJIMTOF 2026で、工作機械向けの新しいオンマシン計測ソリューションを国内初公開すると発表しました。
今回発表されたのは次の2製品です。
- RUP60:世界初のオンマシン超音波厚さ計測プローブ
- RMP400S:タッチ測定・スキャニング・表面粗さ測定を1台で実現する多機能プローブ
どちらも「加工機の中で測定まで完結する」という考え方を実現する製品であり、スマートファクトリーやフィジカルAI時代を支える重要な技術として注目されています。
参考:Renishaw: enhancing efficiency in manufacturing and healthcare
■ RUP60 オンマシン超音波厚さ計測プローブ
■ RMP400S 多目的プローブ
レニショー株式会社とは
Renishawは1973年にイギリスで創業した精密計測・製造技術メーカーです。
現在では世界36か国以上に拠点を持ち、工作機械、三次元測定機、医療、半導体、航空宇宙など幅広い分野へ高精度計測技術を提供しています。
工作機械業界では特に、
- タッチプローブ
- レーザー工具測定
- キャリブレーションシステム
- 工程内計測ソリューション
などで世界的なシェアを持ち、多くのマシニングセンタや複合加工機に採用されています。
同社は近年、「加工機が自ら計測し、判断する」というスマートマニュファクチャリングの実現に力を入れており、今回発表されたRUP60・RMP400Sもその流れを象徴する新製品です。
RUP60とは|世界初のオンマシン超音波厚さ計測プローブ
RUP60は、超音波を利用してワークの厚さを測定する工作機械用プローブです。
従来、厚さを測定するには
- ワークを機械から取り外す
- 超音波厚さ計で測定する
- 三次元測定室へ搬送する
といった工程が必要でした。
RUP60では加工機内でそのまま測定できるため、加工 → 厚さ測定 → 必要に応じて追加加工という一連の流れを自動化できます。
大型部品でも片側から測定可能
超音波を利用するため、片側しかアクセスできない大型部品でも厚さを測定できます。
例えば
- 航空機部品
- 金型
- 鋳物
- エネルギー設備部品
などでは非常に大きなメリットになります。
さらに
- 測定時間:約2秒/点
- 精度:10μm以下
- 繰り返し精度:2μm
- 測定可能厚さ:0.7〜30mm
という高い性能も特徴です。
RMP400Sとは|1台3役の多機能プローブ
RMP400Sは、
- タッチトリガー測定
- スキャニング測定
- 表面粗さ測定
を1本で実現する新しい主軸プローブです。
従来は用途ごとに異なる測定機器やプローブを使用する必要がありましたが、RMP400Sでは1台で幅広い測定が可能になります。
高密度スキャニングで品質を可視化
RMP400Sは高密度スキャニングに対応しており、
- 真円度
- 平面度
- 振れ
- うねり
- 表面粗さ
などを機械上で確認できます。
さらにレニショー独自の**RENGAGE™**技術を採用し、
- 繰り返し精度0.25μm(2σ)
- 表面粗さRa0.5μmまで検証可能
という高精度を実現しています。
工程内計測が製造現場を変える
これまでの製造現場では、
- 加工
- ワークを取り外す
- 測定室へ搬送
- 検査
- 再度段取り
- 追加加工
という流れが一般的でした。
しかしRUP60やRMP400Sを導入することで、
- 加工
- 機械内で自動測定
- 必要に応じて追加加工
- 完成
という工程が実現します。
これにより、
- 段取り時間の短縮
- ワーク搬送の削減
- 人的ミスの低減
- トレーサビリティ向上
- 品質の安定化
といった効果が期待されます。
フィジカルAI時代を支える計測技術
製造業ではAIを活用した「自律加工」が注目されています。
AIが加工条件を最適化するためには、高品質な計測データが欠かせません。
RUP60やRMP400Sは、
- リアルタイム計測
- 加工結果の即時フィードバック
- 自動補正加工
を実現するための重要なセンサーとなります。
つまり、
加工 → 計測 → AIによる判断 → 補正加工
という閉ループ制御(Closed-loop Manufacturing)の実現を支える技術であり、今後のスマートファクトリーにおいて重要な役割を担うと考えられます。
中古工作機械市場への影響
オンマシン計測技術の進化は、中古工作機械市場にも影響を与える可能性があります。
近年は人手不足や品質保証の高度化を背景に、加工だけでなく計測まで自動化できる設備への需要が高まっています。
そのため、
- オンマシン計測に対応したマシニングセンタ
- レニショー製プローブが搭載された設備
- 後付け可能な高精度計測システム
などは、今後さらに注目される設備となるかもしれません。
中古設備を導入する際にも、「加工能力」だけでなく「計測能力」まで含めて設備を評価する時代が近づいていると言えるでしょう。
まとめ
レニショーが発表したRUP60とRMP400Sは、単なる新型プローブではありません。
加工機の中で「加工・計測・補正」を完結させることで、生産性・品質・省人化を大きく向上させる可能性を持っています。
特に、スマートファクトリーやフィジカルAIの普及が進むこれからの製造現場では、こうしたオンマシン計測技術の重要性はさらに高まるでしょう。
JIMTOF 2026では実機展示も予定されており、今後の工作機械業界を占う注目技術の一つとして、多くの来場者の関心を集めそうです。


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