工作機械受注はなぜ10月に急回復したのか|大手3社の決算から読み解く市場の底入れ

こんにちは、株式会社ダイナの広報担当・松本です。
今回は、日本工作機械工業会が発表した2025年10月の工作機械受注統計と、主要メーカー3社の最新決算(オークマ・DMG森精機・ヤマザキマザック)をもとに、なぜ受注が急回復したのかを深掘りします。

10月の受注は前年同月比+16.8%。停滞が続いた工作機械市場において、明確な「反転サイン」が出た形です。この記事では、その背景をデータに基づいてわかりやすく解説します。

目次

2025年10月の受注は「外需が牽引」し大幅増

日本工作機械工業会の速報によると10月は以下のような受注結果となりました。

  • 受注総額:1,430億円(前年同月比+16.8%)
  • 外需:1,075億円(同+20.7%)
  • 内需:356億円(同+6.3%)

特に外需が力強く、月間で1,000億円を超えるのは回復局面の特徴的な動きです。アジア・欧州を中心に、日本製工作機械の引き合いが戻りつつあります。

回復が起きた3つの要因

受注の回復には、以下3つの要因が考えられます。

  • 半導体・航空機・医療分野での投資再開
  • 円安による輸出企業の受注押し上げ
  • 大手メーカーの底打ち感が明確に

半導体・航空機・医療分野での投資再開

主要メーカーが共通して報告しているのは、高付加価値領域から投資が戻り始めたという点です。

  • 半導体製造装置向け部品加工の設備投資が再開
  • 航空機エンジン関連の需要がアメリカを中心に回復
  • 医療・精密分野の高精度加工ニーズも底堅い

特に半導体は、2023〜2024年の在庫調整がほぼ正常化し、2025年に入ってから投資再加速の兆しがあります。

円安による輸出企業の受注押し上げ

2025年10月時点で為替は円安基調です。海外顧客にとって日本製機械が実質的に割安になるため、輸出受注の競争力が上がることや多くのメーカーが価格優位性を確保できる効果が働いています。

10月の外需120%超えは、円安の追い風が背景にあります。

大手メーカーの底打ち感が明確に

ここが今回の記事で最も重要なポイントです。10月の受注回復は、メーカーの決算動向とも一致します。

オークマ:営業利益▲44.4%だが、受注回復は進行中

  • 売上:▲11.0%
  • 営業利益:▲44.4%
  • 経常利益:▲38.6%

数字だけを見れば厳しいですが、工作機械市場では「遅行指標」である決算が悪化している最中でも、足元の引き合いは確実に戻っていると説明しています。

DMG森精機:営業利益▲61.5%だが、最終利益は黒字化

  • 売上:▲11.6%
  • 営業利益:▲61.5%(大幅減)
  • 四半期利益:21,002百万円 → 前年の赤字から黒字化

営業面は不振でも、構造改革やコスト削減が進み最終利益は改善。こちらも、高付加価値領域の受注から回復していると決算で説明。

ヤマザキマザック:減速が最も大きいが、市場の底入れは強調

  • 売上:▲19.1%
  • 営業利益:赤字(90百万円)
  • 経常利益:赤字(99百万円)

マザックは3社の中で最も厳しい数字ですが、底入れの兆しは明確と説明しています。特に欧州とアメリカでの投資再開はプラス材料。

まとめ|10月の急回復は「底打ち → 回復局面入り」のサイン

受注統計と決算を総合すると、2025年10月の大幅増には明確な根拠があります。

  1. 半導体・航空機など高付加価値分野の投資再開
  2. 円安による日本製工作機械の価格競争力向上
  3. 大手メーカーの決算にも“底入れ”の兆し

特に外需の戻りが強く、輸出型メーカーが恩恵を受けています。

市場トレンドとしては「低迷期を脱して回復局面入り」2023〜2024年の調整局面を経て、2025年は再び投資が動き出すタイミングに入りつつあります。

当ブログでも、引き続き工作機械市場の動きを丁寧に解説していきます。

参考

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