10年間の工作機械受注から読み解く、日本製造業の未来と今後の投資判断

こんにちは、株式会社ダイナの広報担当・松本です。
日本の製造業を支える「工作機械」の受注動向は、業界の景気や投資マインドを読み解く上で欠かせない指標です。

今回は、日本工作機械工業会(JMTBA)の統計をもとに、過去10年間の工作機械受注推移を振り返りながら、今後の業界展望について考察していきます。

目次

10年間の受注推移が示す「波」と「構造変化」

過去10年間(2015~2024年)の工作機械受注額の推移を見ると、日本の製造業は明確な波を描きながら進化してきたことがわかります。

  • 2015~2018年:上昇トレンド期
     IoTや自動化需要の高まりにより設備投資が活発化。2018年には1兆8,000億円超とピークに到達しました。
  • 2019~2020年:米中摩擦とコロナによる急減速
     2019年以降は米中貿易摩擦、2020年はコロナ禍による設備投資抑制で受注が大幅減少。2020年は1兆円台前半まで落ち込みました。
  • 2021~2022年:V字回復期
     半導体やEV関連の需要拡大により再び上向き、2022年には約1兆6,000億円へと急回復。
  • 2023~2024年:成長の一服と新たな局面へ
     世界的な金利上昇や設備投資の一巡により、2024年は前年比でやや減速傾向が見られるものの、高水準を維持しています。

この10年間で顕著なのは、自動車・半導体・エネルギーといった構造転換を背景に、工作機械の需要の質が大きく変化しているという点です。

今後の工作機械市場の展望:3つの注目トレンド

過去の受注推移を踏まえると、今後の工作機械市場は以下の3つの方向性が明確になりつつあります。

① EV・次世代モビリティ向け需要の拡大

自動車業界は100年に一度の転換期といわれる電動化シフトの真っただ中にあります。エンジン加工向け設備が減少する一方、モーター・電池・インバータ関連の新たな加工ニーズが拡大し、高精度・高効率なマシニングセンタや複合加工機への投資が進むでしょう。

② 半導体・電子部品向け精密加工機の需要増

AI・5G・IoTの普及を背景に、半導体関連設備投資は世界的に加速しています。特に日本では、TSMCやラピダスの国内拠点建設に伴い、超精密研削盤・微細加工機への引き合いが増加傾向にあります。

③ 海外市場での受注拡大と中古機械の活用

新興国では依然として新規設備導入への需要が高く、日本製中古工作機械の人気も上昇しています。国内で設備更新が進む一方、旧型機はアジア・南米などで第二の活躍の場を得るケースが増えています。

3.投資判断のポイント:中古設備の活用が鍵

工作機械市場は、今後も景気や技術動向に左右される「波」を描きながら成長していくことが予想されます。その中で製造業が競争力を維持するには、新旧設備を柔軟に組み合わせた投資戦略が重要になります。

  • 最新設備は「省人化・高精度化・自動化」の中核として導入する
  • 稼働率の低いラインや補助工程は中古工作機械でコスト最適化を図る

こうした考え方は、コスト競争力の強化だけでなく、サステナビリティの観点からも今後ますます重要性を増していくでしょう。

まとめ

過去10年間の工作機械受注推移を振り返ると、日本の製造業は世界情勢や技術革新の波を受けながら、着実に進化してきたことが見えてきます。

これからの10年は、EV・半導体・自動化といった新たな成長領域にいかに早く対応できるかが競争力の鍵です。同時に、中古機械の有効活用や設備の最適化といった戦略的な判断が、企業の収益性を大きく左右する時代になるでしょう。

参考:

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