こんにちは、株式会社ダイナの広報担当・松本です。
昨日公開した「2025年11月の工作機械受注考察記事」に、多くのアクセスをいただきありがとうございます。
本日はその続編として、最新統計をもとに“2025年の設備投資のゆがみ=二極化”と中古工作機械市場への影響を分析します。
日本企業の設備投資は、いま大きく動いています。
そしてこの変化は、中古機械を扱う当社にとっても、お客様にとっても重要な意味を持ちます。
大企業の設備投資は4年連続で増加──過去最高水準へ
まず注目すべきは、大企業の設備投資が非常に強い動きを見せている点です。
DBJ「2025年度設備投資計画調査」では以下の結果が示されています。
- 2024年度:前年比 +10.5%(バブル期以来の高水準)
- 2025年度:前年比 +14.3% の増加を計画
→ 製造業だけに絞ると +21.0% という非常に高い伸び
牽引する主な領域は以下のとおりです。
- 自動車の電動化(EV・SDV化)
- 半導体製造装置・電子材料
- 鉄鋼(電磁鋼板など)
- 石油(次世代燃料 SAF など)
大企業は“攻めの投資”を継続中です。
結果、大型プレスや門型マシニングなどの入替サイクルが加速し、中古機の放出が増えやすい状況になっています。
一方で中堅企業は慎重姿勢──投資の二極化が鮮明に
同じDBJ調査で、中堅企業はまったく異なる動きを示しています。
彼らの設備投資が進まない理由は以下のとおりです。
- 人手不足・後継者不足
- 工事費・工期の高騰
- 国内外景気への警戒感
この結果、「新品には手が出しづらいが、生産性は改善したい」という企業が中古機械を選ぶ傾向が強まっています。
特に、以下の傾向が見受けられます。
- コストを抑えたい
- 納期を短縮したい
- 使い慣れた仕様を使い続けたい
工作機械受注は“外需”が圧倒的に強い(11月速報)
続いて、昨日のテーマにも関連しますが、工作機械受注の最新統計(2025年11月速報)を見ると傾向がはっきりします。
- 受注総額:1,362億9,100万円(前年同月比+14.2%)
- 外需:前年同月比+23.2%で14ヶ月連続プラス
- 内需:前年同月比 −8.1% と弱含み
➡ 外需が日本の工作機械産業を支えている構図がより強まっています。
➡ アジア・インド向け輸出は依然として旺盛。
中古機を扱う当社においても、アジア現地ユーザーとの取引は年々増加しており、海外需要の底堅さは日々実感しています。
主要統計からは“底打ち”の兆し
- 一部製造業は弱いものの、電子部品・半導体関連は持ち直し
- 企業の設備投資意欲は高水準を維持
- 消費は持ち直し傾向
➡ 景気全体はまだ強いとは言えないが、投資意欲は底堅い。
➡ 設備投資の二極化はさらに続く可能性が高い。
中古工作機械市場へ与える影響
以上の動きを総合すると、2025年の中古機市場は次のように動くと考えられます。
大型投資が続く分野から中古機が増える
- 自動車のEV化
- 半導体関連
- 脱炭素に伴うライン更新
➡ 大型プレス、門型マシニング、加工能力の高い機械は放出増が期待できる。
中堅企業は中古需要が強まる
- 新品価格の高騰
- 工事費の増加
- 稼働までのリードタイム短縮需要
➡ 「中古プレス」「中古マシニング」に対する引き合いはさらに増える見込み。
輸出は好調維持
- アジア向け需要が堅調
- 日本製機械の信頼性は依然高い
- 外需が11月時点で14ヶ月連続プラス
➡ 輸出ルートを持つ中古業者がより有利に。
まとめ|二極化の時代における中古工作機械の重要性
2025年の日本の設備投資は、大企業:大幅増(攻めの投資)、中堅企業:慎重(コスト重視)という二極化がはっきりしています。この結果、「中古機械の供給が増える分野」と「中古機械の需要が増える分野」の両方が発生する、珍しい状況が生まれています。
当社としても、この大きな潮流を見極めながら、国内外のユーザーに最適な中古工作機械をご提供できるよう、引き続き最新情報を発信してまいります。
参考:2025年度設備投資計画調査|日本政策投資銀行
工作機械受注が教えてくれる日本株・世界経済(25 年11 月)|第一生命研究所
統計情報 | 一般社団法人 日本工作機械工業会


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