こんにちは、株式会社ダイナの広報担当・松本です。
今回は、2025年6月分の工作機械受注統計速報をもとに、工作機械業界にとって注目すべきポイントを考察していきます。
総受注額は横ばい、ただし回復の兆し
6月の工作機械受注総額は1,331億5,000万円。前月比では+3.4%と増加した一方、前年同月比では▲0.5%とわずかに減少しました。とはいえ、5月と比べて増加に転じたことで、業界全体としては底打ち感が見られる内容といえるでしょう。
特に注目したいのは、内需の回復ぶりです。前月比で+20.8%と大幅に増え、工作機械の国内需要が回復基調にあることを裏付けています。
内需:設備更新・新規投資の動き
内需の増加にはいくつかの要因が考えられます。
- 老朽設備の更新需要
コロナ禍以降、投資を控えていた中小製造業が、いよいよ本格的な設備更新に踏み切っている可能性があります。 - 中堅企業の自動化投資
人手不足を背景に、ロボット導入やマシニングセンタの更新といった動きも現場で多く見られています。
弊社でも、国内からの中古機械の引き合いがやや増加しており、特に「即稼働可能なNC機」や「油圧プレス」へのニーズが高まってきています。
外需:やや足踏みも堅調
一方、外需(輸出向け受注)は前月比▲2.5%と減少したものの、前年同月比では+0.3%と引き続きプラスを維持しています。これは、東南アジア・インドを中心に一定の設備投資ニーズが続いていることを示しています。
とはいえ、5月までの傾向から見ると、米国・中国・韓国・台湾の一部地域ではやや慎重姿勢に転じている様子もあり、今後の推移には注視が必要です。
今後の注目点:7月の結果で傾向が決まるか
第一生命の調査によると、6月単月では季節調整後の数値で微減(▲0.2%)、3ヶ月平均もマイナスに転じています(▲2.1%)。ただし、7月の結果がプラスに転じれば、再び回復トレンドに戻る可能性が高いとされています。
中古工作機械の流通に関わる私たちとしても、7月の受注動向は大きな分岐点になりそうです。
参考:工作機械受注が教えてくれる日本株・世界経済(25 年6月)中国のクレジットインパルスは上向き
第一生命経済研究所経済調査部
中古機械市場への影響
今回のデータから見えてくるのは、国内の設備投資意欲が回復していることと、海外市場が堅調ながらも踊り場に差しかかっている可能性です。
こうした状況下では、以下のような傾向が今後強まると予想されます。
- 国内向け中古機械の需要が増加(短納期・低コスト志向)
- 大型プレスなど、高額機種の買取が進む
- 海外輸出先の選定が重要に(地域別で明暗が分かれる)
弊社でも、特に400トン以上の大型プレス機械や高年式のNC機に対する買取相談が増えており、まさに内需・外需両面での動きを反映している状況です。
まとめ|業界としては底打ちの可能性も
2025年6月の工作機械受注統計をもとに業界の動向を整理すると、以下のように言えるでしょう。
- 内需が大幅に回復し、投資意欲が戻りつつある
- 外需は安定推移だが、一部地域では慎重姿勢
- 7月の結果次第で、今後の回復基調が明確に
中古機械を取り扱う弊社としても、これらの変化をいち早くとらえ、買取・販売のタイミングを見極めていくことが重要だと考えています。
引き続き、業界の動きを注視しながら、情報発信を行ってまいります。
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