2025年4月の工作機械受注総額は前年同月比+7.7%と好調でしたが、その内訳を見ると外需(輸出向け)は前年同月比+13.3%と伸長した一方、内需は同▲5.4%と減少しており、内需の低迷が顕著となりました。
この背景には以下のような要因が考えられます。
製造業の設備投資マインドの慎重化
第一生命経済研究所のレポートによれば、「内需の主な減少要因は自動車関連である」と分析されています。自動車業界では、EV転換や半導体調達の不透明感、海外需要の変調などを背景に、国内での設備投資を控える動きが出ていることが内需の伸び悩みに直結していると見られます。
機械受注が先行指標として示す企業の慎重姿勢
工作機械の内需は「企業の設備投資意欲」を示す先行指標とされており、今回の低迷は企業が将来の景況に対して慎重な姿勢を取っている兆候でもあります。特に中小企業における投資判断の遅れや、金融環境の変化による影響も考慮されるべきでしょう。
為替とインフレの影響
レポートによると、米国ではインフレ再燃の懸念から金利が上昇傾向にあり、これが為替市場に影響し、円安傾向が進行しています。この影響で、輸出企業にとっては有利な状況が続いている一方、国内市場では輸入コスト増による資材価格の高止まりが内需減退につながっている可能性があります。
一巡した設備投資需要
2023年から2024年にかけて、アフターコロナの回復局面で活発化していた更新・自動化需要が一巡した可能性も指摘されます。これにより、2025年は「踊り場」の局面に入ったとの見方もできます。
まとめ:今後の注目点
内需の回復には、以下のような要素が鍵となるでしょう。
- 自動車・電機を中心とした業界の投資判断の好転
- 国内景気の底打ち感と企業の収益改善
- 政府の設備投資促進策(補助金・税制優遇など)の効果
次回の受注統計(2025年5月分)では、これらの要因がどう動くかを注視する必要があります。内需回復の兆しが見られるかどうかは、製造業の中長期的な展望を測るうえでも重要なポイントとなるでしょう。
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